ノルウェイの森
私は村上春樹の本を読まない人なので物語の中身をあれこれいうのは適切ではないと思う。純粋に映画の良さだけを書いてみたい。
まず、1番感じたのは空気感。舞台はおそらく1970年にかかるかどうかという辺り。髪形、洋服、車といった美術だけでなく、暑さや虫の音といった身にまとわりつくような空気の感じが子供のころに感じたものと同じだった。昔の情景を思い出した。
絵もとてもきれいだった。直子が療養している山の風景なんかはすごかった。夏の草、秋のススキ、冬の雪。その中でワタナベと直子が歩き、走る。引き込まれる感じでした。
役者さんはどの人も良かった。松山ケンイチ、玉山鉄二、高良健吾。とにかくかっこいい。特に松山ケンイチはこんなに良かったかと再認識させられた。女優さんでは水原季子。この映画のセリフ回しに良く合っていたように思う。菊池凛子は年齢的にどうかとも思うが、異様に高くなったり低くなったりする不安定な感情を上手く出していたように思う。
ひと回り半くらい上の年代の青春時代の物語なのだが、やはり自分たちの時代とはなにか漂うものが違うように思う。1970年あたりにはまだ赤軍の事件とかあって社会的に何か緊張感のようなものがあったと思う。80年も真ん中あたりになるとそういうものは薄くなり、身のまわりのことにのみ意識が行くようになったと思う。昨今、グローバル時代と言われているがその傾向は今も続いていると思う。
ワタナベは自分は大人になると言ったが、また同時に自分はどこにいるのかとも言った。たぶん自分たちの時代も同じ思いはあったと思うが、大人の定義がもしかしたら異なっていたのかもしれない。今、二十歳くらいの人たちがどのような考えを持っているのかよく知らない。彼らの大人の定義はもしかしたら自分たちの頃とは違っているかもしれない。
重いがいろいろ考えさせる機会をくれた映画だったと思う。
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